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仙台三十三観音札所

三十三観音崇拝は法華経の普門品(観音経)で観世音が33身に変化し衆生を救うと説かれているところからきており, これに基づき長谷寺の徳道上人が8世紀初頭に近畿地方33ヶ寺に霊場を設けて巡拝したのが始まりとされる。 一方,真言宗と天台宗の教義では六尊を拝んで輪廻から抜け出すとされることから,基本である聖(しょう)観音と, その変化形である十一面観音・如意輪観音・馬頭観音・准胝観音(真言系)・千手観音・不空羂索(ふくうけんじゃく)観音(天台系)の 六観音(両宗合わせて七観音ともいう)を本尊とする六観音信仰がある。 仙台三十三観音はこれらの信仰に基き,4代藩主綱村が元禄時代(1688~1704)に選定したと伝えられる。 昭和11年(1936)に大町の茶舗よろづ園主人の一力友助氏が建てた三十三観音の石柱が各観音堂前にある。

一番 法楽院観音堂 聖観音

所在地と備考:川内亀岡町,運慶作,国分能登守盛氏護持仏

巡礼ご詠歌:ふたらくや うつしていのる 亀がをか 萬代かけて たへぬちかいを

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二番 充國寺 千手観音

新坂町,観瀧庵観音堂(八幡5)から遷座,弘法大師作
来る人は ふかきめぐみに 大崎や 数ある御手の 糸にひかれて

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三番 資福寺観音堂 聖観音

北山1,定光寺(廃寺)から移建,藤原秀衡三男和泉三郎忠衡の守本尊
おもふこと 祈る心に さだまりて 恵むほとけの ひかり身にそふ

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四番 永昌寺 千手観音

新坂町,定朝作(平安時代)
たのもしや 宝の山に かよい来て いかでむなしく かへりやはせん

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五番 昌繁寺観音堂 聖観音

新坂町,室町時代
千代よはふ 鶴のはやしの かよひあり いくよさかりに 繁る山もと

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六番 荘厳寺観音堂 十一面観音

新坂町,慈覚大師作
ゆくすえを なほもたのしめ いさおしを つみてかざりし 花のうてなに

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七番 大願寺観音堂 聖観音

新坂町,行基作,封内風土記は一説に北六番丁薬本寺(廃寺):千手観音
たておきし 弥陀のちかひの 大いなる 願いのうちに たれかもるべき

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八番 宝光院観音堂 聖観音

本町1,廃寺で満願寺に併祀,行基作,封内風土記は一説に定禅寺善性院(廃寺)
友人は 同じ心に まちゐつつ いのりてや行く 今とのちの世

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九番 満願寺観音堂 聖観音

本町1,光明皇后護持仏
もろもろの ねがいもみつる この寺や まことの心 ふかくいの

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十番 善入院観音堂 千手観音

原町1,原町の千手観音
ことぶきを のぶるちかひや いのりつつ 末ののはらの 町とふくとも

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十一番 仙岳院観音堂 十一面観音

東照宮1,小萩観音,行基作,仏生寺(廃寺)から移建,和泉忠衡乳母小萩護持仏
あとたれし 神もすずしめ 法の花 さくやつつじが 岡のみむろに

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十二番 慈恩寺観音堂 聖観音

榴岡5,慈覚大師作
立まよふ 夜道に猶(なお)や 喜ばん 日よりさし出る 月にむかへば

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十三番 金勝寺 聖観音

榴岡5,安弥陀作
うき雲の かかれはみねの 松風に ふきはらはせて 出る月かげ

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十四番 大林寺観音堂 千手観音

新寺4,慈覚大師作
あふげなほ たてし誓の 大いなる 玉の林に うつるひかりを

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十五番 愚鈍院観音堂 聖観音

新寺4,桜塚観音,恵心僧都作
おろかなる 身をおもふとて けしのます 五つはかりし ほどぞ久しき

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十六番 成覚寺観音堂 聖観音

新寺4,行基作
覚り成る 心はむかしの 十の月 みちくる月の あけがたの空

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十七番 阿弥陀寺観音堂 聖観音

新寺3,影沼観音,仏師春日作
つきせじな 幾世ふるとも 阿弥陀仏 はなれじとのみ たてし誓は

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十八番 光寿院観音堂 聖観音

新寺3,運慶作,15世晴宗夫人久保姫(栽松院)護持仏
むらさきに 雲にさしそふ ひかりこそ 楽しきかげや 山のはの月

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十九番 皎林寺観音堂 千手観音

荒町,飛観音,聖徳太子作
たておきし 誓のほども あらはれて いつしかここに 飛びいたりぬる

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二十番 円福寺 聖観音

石名坂,堊玉観音,聖徳太子作,坂上田村麻呂側室堊玉護持仏
ひとすじに いのるしるしの 石名坂 のぼる心を まもらざらめや

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二十一番 瑞雲寺観音堂 如意輪観音

連坊2,安産祈願,慈覚大師作
いのりぬる 心にかなふ しるべとて しるしの雲は 空にたなびく

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二十二番 保寿寺 聖観音

連坊小路

ことぶきを 保つのみかな さいわいも いのるみぎりに あらわれやせん

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二十三番 松音寺観音堂 如意輪観音

新寺4,遍照寺(廃寺)から移建
へだてじな 遍(あまね)くてらす 山のはに いづる朝日の めぐむゆくへは

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二十四番 国分尼寺 聖観音

白萩町,恵心僧都作
よろづ代も うごかじとのみ まもりゆく 国に名だかき 山の尼寺

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二十五番 准胝観音堂 准胝観音

木ノ下2,5代吉村夫人長松院寄進,満海上人作,陸奥国分寺本坊に安置
いさぎよや おきて正しく よしあしを 分けゆく国の 道芝のつゆ

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二十六番 両全院観音堂 聖観音

日辺田中,廃寺で徳照寺管理,名取三観音(本木),慈覚大師作,焼失後の再建
見ても知れ つもりし罪は あさひかげ てらすひかげの 雪のきゆるを

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二十七番 満蔵寺観音堂 千手観音

上飯田3,名取郡誌・封内風土記では清凉寺観音堂(沖野7):聖観音
ゆたかにて 人も飯田の かずかずの ほとけの宝 蔵に満つれば

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二十八番 円浄寺観音堂 聖観音

今泉2,廃寺
すみわたる 心の月の まどかにて 浄(きよ)きひかりは われにこそあれ

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二十九番 祐善寺観音堂 十一面観音

今泉2,鎌倉時代,須田玄蕃館から移転
まうでくる 人につけても 館の名の ありしむかしぞ おもいやらるる

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三十番 高福院観音堂 聖観音

今泉2,廃寺,飛観音
いにしへも さぞなありけん 今泉 わきてながるる 末が末まで

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三十一番 大善院観音堂 十一面観音

四郎丸落合,落合観音堂,名取三観音(中木),慈覚大師作
汲みて知れ 心の水も 落合の 波間をわけて 深きめぐみは

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三十二番 常蔵院観音堂 聖観音

長町1,十八夜観音,名取三観音(末木・裏木),慈覚大師作
こころにも かかるくまなき 夕日かげ たかねの岸に 光さしそふ

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三十三番 大蔵寺観音堂 聖観音

向山1,鹿落観音堂,慈覚大師作,満海上人護持仏
三十三(みそじ)みつ かくれば今も 後の世も やすく越路の 末ぞたのしき

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★六(七)観音のこと。諸説あるとは思いますが…

  • 聖観音   :阿弥陀如来の化身である観音菩薩の基本形。仏の慈悲により現世の悩める人の苦しみを救う。
  • 十一面観音 :頭頂に阿弥陀仏面1,正面は菩薩(慈悲)面3,左に分怒面3,右には狗牙上出(くがじょうしゅつ)面3,後に暴悪大笑面1の計11の顔を持ち,あらゆる方向の人々を救済する。
  • 不空羂索観音:「不空」は「空(むな)しからず」の意で,「羂索」は投網。転じてあらゆる衆生をもれなく救済する観音とされる。
  • 千手観音  :千本の手を有し,それぞれの手に一眼を持つ。千は全てを意味することから,どのような衆生をも漏らさず救済することを象徴し, 観音の王として「蓮華王」とも呼ばれる。十一面観音のように頭上に11の顔もある。
  • 馬頭観音  :頭上に馬の頭があり,分怒相で様々な苦悩や災難などの諸悪を粉砕する。 また,その名前から家畜や馬などあらゆる畜生類の守り神ともされる。
  • 如意輪観音 :6本の手を持ち,うち2本に如意宝珠と法輪とを持つ。如意宝珠は全ての願いを叶え,法輪は煩悩を破壊する。 人々を苦悩から救い,その願いをかなえてくれると言う。
  • 准胝観音  :仏道修行者守護の観音で諸仏の母ともいわれる。女性尊の代表格。心の働きを清浄にし,安産・子授けの功徳もあるとされる。